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給湯器の選び方とリノベーション時の考え方

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Interior of contemporary bathroom with walls and gray floor with double sink and mirror
Photo by Max Vakhtbovych on Pexels

目次

リノベーションの計画が進むにつれ、キッチンの素材やバスルームのタイルに目が向きがちです。しかし、水回り全体の快適性を静かに支えているのは、給湯器の選択にほかなりません。お湯の出方、待ち時間、光熱費の変動——これらはすべて、給湯器の方式と容量に起因しています。間取り変更と同じタイミングで給湯設備を見直すことで、日々の暮らしの質は確実に変わります。

Interior design of contemporary spacious bathroom with shower cabin and bathtub in white and gray tones in modern house
Photo by Max Vakhtbovych on Pexels

給湯方式の比較——それぞれの特性を知る

給湯器には大きく分けて、瞬間式貯湯式の二種類があります。さらに熱源によって、ガス・電気・ヒートポンプ式に分類されます。それぞれの特性を理解することが、選択の出発点です。

瞬間式(ガス・電気)

使う瞬間にお湯を沸かす方式です。タンクを持たないため設置面積が小さく、マンションリノベーションでは依然として主流です。ガス瞬間式は火力が強く、複数の水栓を同時使用しても湯量が安定しやすい点が特長です。一方、電気式の瞬間型は出力の制約から、大容量の同時使用には向きません。なお、機器代と工事費を合わせた設置コストは、ガス瞬間式で概ね15〜30万円程度が目安とされていますが、配管状況や建物条件によって変動します。※出典:施工事例および各メーカー公表値(要追加)

貯湯式(ヒートポンプ式)

深夜電力などを活用してタンクにお湯を蓄える方式です。タンク本体と室外機の設置スペースが必要になるため、戸建てリノベーションで採用されるケースが多くなります。初期費用はガス瞬間式と比較して高くなる傾向があり、ヒートポンプ式の場合は機器代と工事費を合わせて40〜80万円程度が一般的な目安です。※出典:施工事例および各メーカー公表値(要追加)

Contemporary empty bathroom with white walls furnished with toilet and bidet and sink
Photo by Max Vakhtbovych on Pexels

エネルギー効率という視点

給湯は家庭のエネルギー消費の中でも比重の大きい用途のひとつです。調査機関や調査時期によって数値には幅がありますが、給湯が家庭全体のエネルギー消費に占める割合は20〜30%程度とされており、無視できない領域です。※出典:各種エネルギー統計(要追加)

ヒートポンプ式は、空気中の熱を利用してお湯を沸かすため、電気ヒーターで直接加熱する方式と比べてエネルギー消費量を抑えられる傾向があります。ただし、その効率は設置環境の気温や使用パターンによって変動するため、カタログ値だけで判断するのではなく、実際の生活スタイルに照らし合わせた検討が必要です。

弊社の施工事例では、戸建てのフルリノベーションにおいてヒートポンプ式へ切り替えたケースで、光熱費の変化を1年後に確認したところ、給湯関連のランニングコストが以前と比較して下がったという報告が複数あります。ただし、導入コストの回収期間は使用状況によって大きく異なります。

Interior of modern light bathroom with bidet and toilet next to sink with cabinet under mirror
Photo by Max Vakhtbovych on Pexels

設置スペースの工夫——間取りと給湯器を同時に考える

リノベーションで間取りを変更する際、給湯器の位置を後回しにすると、配管の引き回しが複雑になり、工事費が膨らむことがあります。特に、キッチンとバスルームが離れた間取りに変更する場合は、給湯器から各水栓までの距離が長くなり、お湯が出るまでの時間(配管内の冷水を押し出す時間)が長くなります。

この問題を解決する方法のひとつが、給湯器を使用箇所の近くに配置することです。小型の補助給湯器を洗面台下に設けるケースや、メイン給湯器の位置を水回りの中心に寄せる設計も有効です。弊社代表の経験では、配管ルートの最適化だけで「お湯が出るまでの待ち時間」を体感的に半分以下に短縮できた事例が少なくありません。

戸建てでヒートポンプ式を選ぶ場合、室外機の置き場所も設計段階から織り込む必要があります。隣地境界からの距離、騒音への配慮、将来的なメンテナンスのアクセスしやすさ——これらを間取り図と同時に検討することが、後悔のない設計につながります。

Interior design of contemporary spacious bathroom with shower cabin and bathtub in white and gray tones in modern house
Photo by Max Vakhtbovych on Pexels

給湯器の選択は、水回りの使い勝手にどう影響するか

日常の中で給湯器の存在を意識することは、ほとんどありません。しかし、その選択の差は、朝の身支度や夜の入浴という繰り返しの行為の中に、静かに積み重なっていきます。

たとえば、号数(給湯能力)の選び方ひとつで、複数の水栓を同時に使う際の快適性は大きく変わります。家族構成やライフスタイルに対して号数が小さすぎると、シャワー中に台所でお湯を使った瞬間に湯温が下がる、という経験につながります。一般的な目安として、一人暮らしや夫婦二人であれば16号前後、家族が増えるにつれて20号・24号と余裕を持たせる選択が安心です。

また、追い焚き機能の有無も重要な検討点です。浴槽を設けるリノベーションでは、追い焚き対応の給湯器と専用配管の設置を最初から計画に含めることで、後付け工事の手間とコストを回避できます。弊社施工事例では、追い焚き配管を後から追加した場合、壁や床の一部を開口する必要が生じ、仕上げ材の補修コストが別途発生したケースがありました。

Contemporary empty bathroom with white walls furnished with toilet and bidet and sink
Photo by Max Vakhtbovych on Pexels

まとめ

給湯器は、完成した空間の中で目に触れることのない設備です。しかしその選択は、水回りの使い勝手、エネルギーコスト、そして日々の時間の質に、確実に関与しています。

リノベーションの計画段階で給湯器を後回しにしてしまうと、間取りが決まった後に配管の制約が生まれ、選択肢が狭まることがあります。給湯方式の比較、設置スペースの確保、号数の選定——これらは、キッチンやバスルームの仕様と同じ優先度で、設計の初期段階から議論されるべき事項です。

瞬間式か貯湯式か、ガスか電気か、という問いに対する答えは、建物の種別、家族の人数、生活リズム、そして光熱費に対する考え方によって変わります。一般解はなく、それぞれの暮らしに合った選択があるだけです。

私たちがリノベーションの設計に関わる際は、給湯設備を「後で決める項目」ではなく、空間の快適性を構成する要素のひとつとして扱います。目に見えない部分への丁寧な配慮が、長く使い続けられる住まいをつくる、と考えているからです。

よくあるご質問

リノベーションで給湯器を交換するタイミングはいつが適切ですか?

給湯器の一般的な寿命は10〜15年程度とされています。リノベーションのタイミングで交換すると、壁や床の開口工事を内装工事と同時に行えるため、別途工事費を抑えられます。特に間取り変更を伴う場合は、配管ルートの見直しと合わせて検討することをお勧めします。

マンションと戸建てで給湯器の選び方は変わりますか?

変わります。マンションでは設置スペースの制約が大きく、ガス瞬間式が主流です。また、管理規約によって設置できる機器の種類や工事方法が定められている場合があるため、事前に確認が必要です。戸建てでは室外機の設置が可能なため、ヒートポンプ式貯湯タイプの選択肢も広がります。

号数はどのように選べばよいですか?

号数は同時に使用する水栓の数と家族の人数が基準になります。一般的に一人暮らしや夫婦二人の場合は16号前後、3〜4人家族では20号以上が目安とされています。ただし、大型浴槽の使用や複数のシャワーを同時に使う生活スタイルであれば、余裕を持って上位号数を選ぶことが快適性につながります。

追い焚き機能は後から追加できますか?

技術的には可能ですが、追い焚き専用の配管(往き・戻りの2本)を浴槽まで新設する必要があります。壁や床の一部を開口する工事が伴うため、仕上げ材の補修コストが別途発生します。リノベーション時に浴槽を設ける場合は、最初から追い焚き対応の設計に含めることが合理的です。

給湯器の設置場所を変えることはできますか?

可能ですが、既存の配管から大きく離れた位置への移設は、配管工事費が増加します。また、ガス給湯器の場合はガス管の延長、電気式の場合は電気容量の確認も必要です。移設を検討する際は、設計の初期段階で施工会社に相談し、配管ルートと工事費を含めた総合的な判断をすることが重要です。

執筆: 橋本 純

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